特定技能-造船

造船現場の様子

特定技能「造船・舶用工業」分野とは

造船・舶用工業は、日本の高度な製造技術が集約された産業分野です。
しかし人材の高齢化と若手不足が深刻で、熟練技能者の確保が急務となっています。

この課題に対応するため、外国人材の受け入れを可能にする「特定技能(造船・舶用工業)」が創設されました。
金属加工や艤装、塗装など幅広い作業分野で活躍が期待されています。

✅ 特定技能「造船・舶用工業」の特徴

  • 9業務区分(溶接・塗装・艤装など)に対応
  • 技能実習2号修了者は試験免除で移行可能
  • 在留期間は最大5年間(特定技能2号は未設定)
  • 熟練技能と安全意識を備えた即戦力人材

対象業務と求められる技能

特定技能「造船・舶用工業」では、実際の造船所や関連工場において、以下の9業務区分で外国人材の就労が認められています。
各分野では、高い精度と安全性が求められるため、技能試験の合格が必要です。

🔧 対象業務区分(全9業務)

  • 溶接(アーク溶接・半自動溶接等)
  • 仕上げ(グラインダー・研磨作業など)
  • 鉄工(鋼材の切断・加工・曲げ作業)
  • 塗装(船体塗装や防錆処理)
  • 電気機器組立て(船内配線など)
  • 機械加工(旋盤・フライス等の使用)
  • 配管(船舶内部のパイプ設置)
  • 艤装(艤装品の取り付けや調整)
  • 造船ブロック工(船体ユニットの組立)

📌 求められる能力と姿勢

  • 高温・高所・狭所での作業にも耐えられる体力と適応力
  • 日本語での基本的な作業指示を理解できる能力(N4相当)
  • 安全対策とチームワークを重視する意識

受け入れ条件と制度のポイント

造船・舶用工業分野において外国人を受け入れるには、事業所・本人双方に一定の条件が求められます。
安全かつ円滑な就労を実現するため、制度設計や支援体制の整備も重要です。

✅ 主な受け入れ要件

  • 日本語能力試験N4以上 または国際交流基金JFT-Basic合格
  • 造船・舶用工業分野 特定技能評価試験(学科+実技)に合格
  • または技能実習2号修了(同一職種)であれば試験免除
  • 雇用契約はフルタイム・直接雇用であること
  • 事業所側は支援計画(生活指導・通訳等)を適切に実施

📌 制度上のポイント

  • 在留期間は1年ごとに更新、最長5年まで
  • 原則として派遣就労は不可(請負形式も注意)
  • 技能水準は国土交通省および関係機関が監督
  • 特定技能2号への移行は現在、未設定

登録支援機関の役割と支援内容

特定技能制度では、外国人材が安心して働けるよう、登録支援機関による支援が義務付けられています。
とくに造船・舶用工業分野では、安全管理や技能向上のサポートと合わせて、生活面での支援も重要になります。

✅ 主な支援内容(例)

  • 入国前・入国後のオリエンテーション(安全・ルール・生活)
  • 住居確保の支援・生活用品の準備支援
  • 日本語学習機会の提供(教材・オンライン支援など)
  • 定期的な面談と職場との橋渡し
  • トラブル発生時の通訳・相談対応
  • 転職サポート(やむを得ない事情がある場合)

※支援は原則として14項目。企業が自ら支援を行う場合も「支援責任者・担当者」の設置が必要です。

技能実習からの移行について

造船・舶用工業分野では、技能実習2号を良好に修了した外国人材は、試験を受けずに特定技能へ移行することが可能です。
すでに3年間の現場経験があるため、即戦力としての活躍が期待されます。

✅ 技能実習修了者のメリット

  • 特定技能の試験(日本語・技能)の受験が免除
  • すでに日本での生活習慣や業務フローに慣れている
  • 日本語でのコミュニケーションにも柔軟に対応
  • 同一業務区分での継続就業がスムーズ

※技能実習修了時の「評価記録書」などの提出が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 造船分野における外国人材の安全管理はどうなっていますか?
→ 各社で安全講習やOJTを徹底をお願いします。入社時のオリエンテーションも重要です。

Q2. 特定技能2号への移行は可能ですか?
→ 現時点(2025年時点)では、造船・舶用工業分野は「特定技能2号」の対象外です。

Q3. 派遣での雇用は認められていますか?
→ 原則として派遣就労は禁止されており、直接雇用が必須です。

Q4. 技能実習からの移行者と新規取得者に違いはありますか?
→ 技能実習修了者は試験免除のため早期就労が可能ですが、制度上の権利や待遇に大きな違いはありません。

Q5. 入国後の生活支援は誰が行いますか?
→ 登録支援機関または受入企業が14項目の支援を実施する義務があります。

導入企業の声と活用事例

特定技能「造船・舶用工業」分野では、即戦力として活躍する外国人材の導入が着実に進んでいます。
以下は、実際に導入している企業からの声と事例です。

🛠 株式会社Y造船(広島県)

ベトナム人溶接工2名を受け入れ。丁寧な作業姿勢と責任感が高く、定着率も良好。
現場の日本人社員とも良好な関係を築き、言語支援を通じたチーム強化を図っている。

⚙ 有限会社S工業(長崎県)

技能実習から移行したインドネシア人技術者を活用。
造船ブロック工の現場で活躍し、指導員の補佐も務めるなど信頼が厚い。

※ 活用事例は一例です。実際の支援体制や導入状況は企業により異なります。

PAGE TOP