特定技能-建設

建設作業中の外国人材

特定技能「建設」分野とは

建設業は日本のインフラを支える重要な産業でありながら、慢性的な人手不足に直面しています。 特に現場作業員の高齢化と若年層の不足が課題となっており、これを補う形で「特定技能(建設)」が創設されました。

この制度により、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材が、直接雇用で建設現場に従事できるようになります。 安全性・技能水準の確保を前提に、外国人の力を活用する取り組みが全国の建設企業で広がっています。

✅ 特定技能「建設」の特徴

  • 14職種・18作業に対応した幅広い受け入れ枠
  • 技能実習2号修了者は試験免除でスムーズに移行可能
  • 在留期間は最大5年間(特定技能2号への移行枠もあり)
  • 現場の即戦力として実務経験を持つ人材が就業

特定技能「建設」分野の対象職種・作業

建設分野では、以下の14職種・18作業が特定技能の対象とされています。
いずれも安全性・技術力・責任が求められる重要な業務であり、試験や技能実習を通じたスキル証明が必要です。

職種 作業名
土工 掘削・埋戻し・基礎工事など
型枠施工 型枠組立・解体作業
鉄筋施工 鉄筋組立・加工
とび 足場・仮設・高所作業
左官 壁塗り・下地調整
配管 給排水・ガス管・衛生設備工事
内装仕上げ 床・壁・天井の内装作業
電気通信 LAN工事・電気設備関連
鉄工 金属加工・構造物製作
板金 屋根・外装・ダクト施工
建設機械施工 ショベル・ブルドーザー運転
溶接 アーク・ガス・TIG溶接
保温保冷 配管・ダクトの断熱材施工
築炉 耐火構造物の施工・補修

※ 出典:国土交通省 建設技能人材確保・育成協議会「対象職種一覧」

建設業界の人手不足と受け入れの背景

日本の建設業界では、高齢化の進行と若年層の入職減少により、深刻な人手不足が続いています。
特に中小規模の建設会社では、現場作業員の確保が困難となり、公共工事やインフラ整備の遅れが懸念されています。

こうした背景から、政府は2019年に特定技能制度を創設し、建設現場での即戦力となる外国人材の受け入れを本格化させました。
技能実習で培った経験を持つ外国人が、制度移行によりさらに長期的に活躍できるようになったことも特長です。

📉 人手不足の要因

  • 技能者の6割以上が50歳以上
  • 若手の入職率が低く後継者不足
  • 地方・離島などでの人材確保が困難

🌍 外国人材受け入れのメリット

  • 即戦力として現場業務を支援
  • 技能実習で経験を積んだ人材が多く移行
  • 5年間の就労が可能で定着しやすい

※ 出典:国土交通省・厚生労働省「建設業における外国人材受け入れの現状」

受け入れ可能な業務内容と注意点

特定技能「建設」では、技能試験に合格した外国人が14職種18作業のいずれかの業務に従事することが認められています。
ただし、現場単位での管理が厳格に求められており、以下のルールに注意が必要です。

🔧 主な従事可能業務

  • 型枠、鉄筋、土工、とび、左官、配管 などの現場作業
  • 施工管理補助(通訳・日報作成など簡易補助レベル)
  • 建設機械オペレーター(有資格者のみ)

⚠️ 注意点・制限事項

  • 受け入れ企業は建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必須
  • 登録した職種以外の作業に従事させることは禁止
  • 他社現場に出向させる「派遣的な働き方」は不可
  • 安全教育・装備・言語サポートを事前に整える必要あり

※ 出典:国土交通省「建設分野における外国人材受け入れ制度ガイドライン」

特定技能「建設」 資格取得の要件

特定技能「建設」分野の在留資格を取得するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

① 技能試験 + 日本語試験の合格

  • 建設分野特定技能1号評価試験(対象職種別に実施)
  • 日本語能力試験N4以上、またはJFT-Basicの合格

② 技能実習2号修了者(建設分野)

対象職種の技能実習2号を良好に修了していれば、試験免除で「特定技能1号」へ移行可能です。
修了証明書の提出が必要となります。

技能試験は日本国内に加えて、ベトナム・フィリピン・インドネシアなどの海外試験会場でも実施されています。

※ 出典:国土交通省「建設分野における特定技能制度」資料

雇用契約と申請時に必要な書類

特定技能外国人を建設現場で雇用する際は、入国管理局への申請が必要です。
また、受け入れ企業は建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が義務付けられています。

📄 雇用契約の主な条件

  • 雇用形態:直接雇用(派遣不可)
  • 給与水準:日本人と同等以上
  • 勤務時間・休暇・社会保険:労働基準法を遵守
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)登録が必須
  • 就業場所・業務内容を特定して契約書に明記

📝 主な申請書類

  • 雇用契約書の写し
  • 受入機関の誓約書
  • CCUS登録証明書
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 支援計画書(登録支援機関が作成する場合あり)

※ 出典:出入国在留管理庁・国土交通省 資料より

建設現場での支援体制とフォローアップ

建設業は屋外作業や高所作業などリスクの高い現場が多いため、特定技能外国人に対しても安全教育や言語支援が不可欠です。
円滑な現場運営と定着を実現するために、以下の支援体制を整えることが求められます。

🏠 生活支援・定着支援

  • 住居の手配と契約支援
  • 交通手段(自転車・送迎など)の整備
  • 生活オリエンテーション(公共マナー・防災・病院)
  • 母語対応可能な相談窓口の設置
  • 定期的な面談とストレスケアの実施

特定技能2号への移行と将来的なキャリアパス

建設分野では、一定の条件を満たすことで「特定技能2号」への移行が認められています。
特定技能2号は在留期限の上限がなく、家族の帯同も可能となることから、長期的な活躍が期待されています。

📌 移行の条件

  • 特定技能1号での就労経験を3年以上有すること
  • 対象職種における2号評価試験(熟練技能)に合格すること
  • 勤務態度・日本語能力・職務内容が総合的に評価される

🚀 将来のキャリアパス例

  • 熟練作業員として現場の中心メンバーに
  • 作業指導員や通訳として外国人チームの支援役に
  • 社内の正社員登用や役職付き雇用の可能性も

※ 出典:国土交通省「特定技能2号制度の運用方針」より

建設業界での外国人材活躍事例と導入効果

特定技能制度の導入以降、多くの建設企業が外国人材を受け入れ、現場の即戦力として活躍しています。
実際の導入事例を通じて、雇用のメリットや成果をご紹介します。

🏗 導入事例①:中堅建設会社(関東地方)

  • 技能実習から移行したベトナム人3名を採用
  • 型枠・鉄筋の作業を中心に現場の主力として活躍
  • 通訳支援を通じて安全面も安定し、定着率95%以上

🚧 導入事例②:土木工事業(地方都市)

  • 重機オペレーターとして外国人2名を育成
  • CCUS活用でスキルを見える化し、昇給評価に活用
  • 近隣地域への外国人雇用拡大の先駆けとなる

📈 導入による効果

  • 慢性的な人手不足の解消
  • 現場の作業効率・工期の安定
  • 若手人材の確保による組織の活性化

※ 上記は実際の企業ヒアリングや国交省公開事例をもとに構成

よくある質問(FAQ)

Q. どのような建設業務で外国人を雇用できますか?

型枠、鉄筋、土工、配管、とび、建設機械など、指定の14職種18作業に該当する業務に限られます。必ずCCUSにも登録してください。

Q. 技能実習生と何が違いますか?

技能実習は「技能の習得」が目的ですが、特定技能は「即戦力の労働力」としての受け入れです。労働条件は日本人と同等以上が必要です。

Q. 特定技能外国人の派遣は可能ですか?

いいえ、特定技能では派遣(請負を含む)は認められていません。直接雇用のみとなります。

Q. 日本語が話せない人でも雇えますか?

日本語能力試験N4相当以上の合格が必要です。また、現場では簡単な指示が理解できるレベルが求められます。

Q. 特定技能2号へ移行するにはどうすれば良いですか?

特定技能1号として3年以上の就労後、2号評価試験に合格することで移行可能です。2号に移行すると在留期限の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。

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